後三国演義がやって来た

どうもっ!

諸葛菜です!

先日の記事でお知らせした晋の時代のお話、後三国演義についてです。

両晋演義、東西晋演義 三国時代の後を描いた本だけれども…?

中古で購入しちゃいました。

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表紙には一角獣に騎乗している石珠様が描かれています。

 

装丁はなんというか、もっとおどろおどろしいものか、女性が主人公とのことなので、ペンギンくらぶに描かれているような活力のある女性が、胸当てと腰当ての部分以外は非武装地帯な画像を期待していましたが、ご覧のとおり、大人しめのファンタジー系物語を彷彿させてくれる絵ですね。

こちらの紹介文でも「妖術あり」とのことでしたので、天候を変えたり、雷を落としたりするのかと思ったら、どうやらそんなものではなさそうですね。

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表表紙の裏に、「それからの三国志」とありますが、三国志ではありませんので要注意です。 また、三国時代を舞台に描かれた珍書 でもありません。正確には三国志が終わった後の中国のお話です。

訳者の寺尾善雄先生は、1923年生まれ。東京外国語大学中国語部文学科をご卒業。 岡山日々新聞社、産経新聞社、秋田書店に勤務。1987年にお亡くなりになっています。

『中国故事物語』『漢詩故事物語』などの作品の他、四大奇書の続編のような『水滸後伝』『後西遊記』の後の世界を語っている作品の訳をされています。

後シリーズがお好きなのでしょうか。

私は訳者ではないですが、もし、「どこの馬の骨の中国人が書いたかわからないけど、三国志演義の職滅亡後から三国統一までのトンデモ本があるから訳してみて。お金出すから」と言われた二つ返事で引き受けてしまいます。

呉・三国志の作者であられる伴野朗先生東京外国語大学の中国語学科ご卒業でした。

外語大中国語学科卒の方は、三国志の後半にご興味がおありなのでしょうか。諸先生方に負けず東京外国語大学中国語専攻の若いOBの方も、アマゾンランキングや売れる売れないにかかわらず、中国産の三国志後半の地味な時代を書いた小説を片っ端から翻訳してほしいですね(笑

では、まえがきをかい摘んで書いてみましょう。

  • 「後三国演義」の原本の作者は不明です。
  • 小説ではあって事実ではありません。
  • 西晋の中、末期(4世紀初め頃)に兵を起こした石珠、劉弘祖が協力して西晋を打ち破るお話です。
  • 時代は晋が呉を併呑した後のお話になります。

先程も書きましたが、三国志時代とはほとんど関係ありません。

三国志の参考資料にすらなりません。

まだ最初の数ページを読んだだけですが、石壁の中から人間が生まれたり、死人の脳みそを喰らう一角獣や、ボール状の肉塊から人間が出てきたり、鬼やバケモノを大量に召喚して一晩で宮殿を作ってしまう道士、幻のような神兵を持っている武の達人。

妖術ありとはいえ、読み始めた早々すでにパラレルワールドが広がっています。

これでは、賈南風の悪知恵なんて絶対に通じませんし、仮に鐘会、トウ艾、羊コ、馬隆が生きていても、いや…諸葛亮孔明八卦の陣ですら、鬼神の前には一捻りでしょうな…。まえがきにあるように、「中国古典の独特な判りにくい表現を避け、なるべく平易な文章にした」とのことなので、非常に読みやすい文章となっています。

「まあ、もう夜が明けたの?わたし、バタン、キューで夢さえ見ないくらい、ぐっすりねていたのよ」石珠様

こういった時代小説に登場するアイテムは、なるべくカタカナを避けたいと思うはずですが、惜しげも無く「シャツを脱ぎ捨てた」などきちんと現代語に訳されています^^;

まだ、少ししか読んでいませんが、読みやすいです。本の題名にこだわらず、三国志とは関係のないファンタジーな昔話だと割りきって読めば、奇想天外で面白いかもしれませんね。